前立腺肥大症
前立腺肥大症は、男性特有の臓器である前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することでさまざまな排尿トラブルを引き起こす病気です。50代以降の男性に多く見られる非常に身近な疾患であり、年齢を重ねるごとにその割合は高まります。こいずみ腎・泌尿器科クリニックでは、京急の横須賀中央駅から徒歩1分という通いやすい場所で、日本泌尿器科学会の専門医および指導医である院長が、患者さん一人ひとりの症状に合わせた最適な治療をご提案しています。前立腺肥大症は、放置すると尿閉や膀胱結石をきたすことがあります。さらに進行すると膀胱や腎臓へ負担をかけ機能障害を生じるなど、重篤な状態を招くこともあるため、早めの相談が改善への近道です。
前立腺肥大症の症状について
前立腺肥大症の症状は、大きく分けて「尿を出す時のトラブル(排尿症状)」と「尿を貯める時のトラブル(蓄尿症状)」の2つに分類されます。これらは徐々に進行するため、最初は「年のせいかな」と見過ごしてしまいがちですが、生活の質を大きく下げる原因となります。主な症状は以下の通りです。
尿を出す時のトラブル(排尿症状)
前立腺が尿道を圧迫することで、尿の通り道が狭くなり、スムーズに尿が出せなくなる症状です。以下のような自覚症状がある場合は、前立腺肥大症が進行している可能性があります。
- 尿の勢いが以前よりも弱くなったと感じる(尿勢低下)
- 尿が出始めるまでに時間がかかる(尿利遅延)
- お腹に力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)
- 排尿の途中で尿が途切れてしまう(尿線中絶)
尿が出づらいと感じる方は「尿が出づらい」のページをご覧ください。また、尿をするのに時間がかかる方は「尿をするのに時間がかかる」のページを参照してください。
尿を貯める時のトラブル(蓄尿症状)
肥大した前立腺によって膀胱が刺激されたり、常に尿道が圧迫されたりすることで、膀胱の機能が不安定になり、尿を十分に貯められなくなる症状です。
- 1日の排尿回数が8回以上になる(昼間頻尿)
- 急に尿意を感じて我慢が難しい(尿意切迫感)
- 夜中に何度もトイレに起きてしまう(夜間頻尿)
頻尿・尿意切迫感については「尿が近い」のページを参照してください。また、夜間の尿にお悩み方はの「夜トイレに何度も起きる」のページもご覧ください。
前立腺肥大症の原因について
前立腺肥大症がなぜ起こるのか、そのメカニズムについては完全には解明されていませんが、いくつかの重要な要因が重なっていると考えられています。主な原因は以下の通りです。
加齢と男性ホルモンの影響
最も大きな要因は加齢です。前立腺は男性ホルモンの影響を受けて成長・維持される臓器であり、加齢に伴いホルモンバランスが変化することが肥大に関与していると考えられています。30代頃から前立腺が少しずつ大きくなり始め、60歳までに約半数以上、80歳以上ではほとんどの男性に前立腺の肥大が見られるようになります。
生活習慣病との関連
近年の研究では、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症といった生活習慣病が前立腺肥大症のリスクを高めることが分かってきました。メタボリックシンドロームの状態にあると、交感神経の働きが強まったり、体内で微弱な炎症が続いたりすることで、前立腺が肥大しやすくなる傾向があります。食生活の変化や運動不足が症状に影響を及ぼすケースは少なくありません。
前立腺肥大症の検査について
- 問診: IPSS(国際前立腺症状スコア)を用いて困り度を調べます。
- 直腸診: 硬結の有無や痛みがないかなどを確認することがあります。
- 尿検査:血尿や炎症の有無などを調べます。
- PSA採血: 肥大があるとベースの値が高くなります。
- 超音波検査(エコー): 前立腺体積の測定、膀胱結石や水腎症(腎臓に尿が溜まる)の有無を確認します。
- 尿流量測定: 尿をするだけの検査です。排尿効率を客観的に捉えることができます。
- 残尿測定: 排尿後の尿の残りを調べる簡易エコーです。
- 膀胱鏡検査: 尿の通り道の閉塞の程度や膀胱内に突出する前立腺の程度や形状を調べることができます。
一度に全ての検査を行うわけではありません。症状の程度や治療方針によって、必要な検査を相談します。検査の際は、プライバシーや痛みに十分配慮し行うよう努めてまいります。
PSA採血の詳細については「PSA高値」のページを参照してください。
前立腺肥大症の治療法について
前立腺肥大症のあるすべての方が、必ずしも手術を必要とするわけではありません。まずは状態に合わせて必要な検査を行い、重症度に応じた最適な治療を選択します。
薬物療法
前立腺肥大症の治療として多く行われるのは薬物療法です。症状を和らげるだけでなく、肥大そのものを抑えるお薬もあります。
- α1遮断薬・・尿道の筋肉の緊張を緩めて、尿の通りをスムーズにするお薬です。効果が早く現れるのが特徴です。
- PDE5阻害薬・・前立腺や膀胱の血流を改善し、筋肉を緩めることで症状を緩和します。
- 5α還元酵素阻害薬・・男性ホルモンの働きを抑えることで、大きくなった前立腺を少しずつ小さくするお薬です。
- 生薬・植物製剤・・比較的穏やかな作用で、排尿症状や残尿感を改善します。
生活指導
お薬の服用と併せて、生活習慣を見直すことも非常に効果的です。当院では診察時に以下のようなアドバイスを丁寧に行っています。
- 過度な水分摂取を控える(特に就寝前)
- カフェインやアルコールの摂取量を調整する
- 便秘を解消し、お腹への圧迫を減らす
- 適度な運動を心がけ、血流を改善する
手術療法
重症例や薬物療法で十分な効果が得られない場合には手術を検討します。
①経尿道的前立腺切除術:TURPという伝統的な術式
②レーザー手術:Holmium YAGレーザーやダイオードレーザー等を使用した術式
③水蒸気治療、前立腺吊り上げ術、水流を用いたロボット支援手術など
手術が必要と判断された場合には、提携先の高度医療機関へご紹介いたします。
前立腺肥大症についてのよくある質問
Q1. 前立腺肥大症を放置すると前立腺がんになりますか?
A1. 前立腺肥大症が進行してがんに変わることはありません。しかし、両方の病気が同時に発生することは珍しくありません。症状だけで区別することは難しいため、泌尿器科を受診して検査を受けることが重要です。
Q2. お酒を飲むと尿が出なくなることがあると聞きましたが本当ですか?
A2. はい、本当です。アルコールの作用で前立腺が充血して浮腫(むく)んだり、膀胱の収縮力が低下したりすることで、急に尿が全く出なくなる「尿閉」を起こすことがあります。特に前立腺肥大症がある方は注意が必要です。
Q3. 治療を始めたら一生お薬を飲み続けなければなりませんか?
A3. 症状が安定し、生活習慣の改善によってお薬を減らしたり中止したりできるケースもあります。しかし、前立腺肥大症は加齢に伴う変化であるため、長期的なお付き合いになることが多いのも事実です。患者さんの希望を伺いながら調整していきます。
Q4. 自転車に乗ることは前立腺に良くないのでしょうか?
A4. 長時間のサイクリングなどでサドルが会陰部(股の間)を圧迫すると、前立腺が充血して症状が悪化することがあります。適度な距離であれば問題ありませんが、硬いサドルを避けて、クッション性を高めるなどの工夫をすることをお勧めします。
院長より
前立腺肥大症は年齢とともに多くの男性に現れる身近な病気ですが、早期に対処することで生活の質を改善することが可能です。私は日本泌尿器科学会の専門医および指導医として、長年にわたり大学病院や地域の基幹病院で多くの前立腺疾患の診療に携わってきました。その経験から、排尿の悩みは単なる「トイレの回数」の問題ではなく、睡眠不足や外出の制限、精神的なストレスなどが生活や健康寿命へも悪影響を及ぼすものと考えています。こいずみ腎・泌尿器科クリニックは横須賀中央駅から徒歩1分という利便性の高い場所にあり、お仕事帰りやお買い物ついでに気軽にお立ち寄りいただける環境を整えています。泌尿器科は少し恥ずかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、当クリニックではプライバシーに配慮し、リラックスしていただける雰囲気づくりを大切にしています。患者さんの「今」の困りごとに寄り添った治療を提案いたしますので、少しでも気になる症状があれば、「歳のせいだから仕方がない」とあきらめずご相談ください。
当院についての詳細は「当院の特徴」のページや「アクセス」のページをご確認ください。
